オチはないし、独断と偏見に満ちてますので、くれぐれもお時間を無駄になさいませぬよう。














 私が映画を観て、興奮するポイントは不条理であることと、暴力的であること。
自分ではどうしようもない力に曝されて(内からでも外からでも)、それでも生きてくってのが好きです。特に主人公が聡明な女の子だとなお良い。「パンズ・ラビリンス」とかまさにって感じです。キモ怖いバケモノが沢山出てくるので、そういうの好きな人にもオススメしたい。
 
 作品の雰囲気はバラバラだけど、イニャリトゥ、アルモドバル、クストリッツァ作品は何があっても生きてく人間の強さみたいなのが共通してると勝手に思ってて、好きです。クストリッツァは音楽もジプシーのが多く、楽しい気分になれるのでオススメです。

 これまた全く別ものだけど、ゴダールが好きな理由も、唐突なバッドエンドと圧倒的な映像美って意味では、不条理であり、暴力的だからと思う。主人公が全然生に執着してないけど。という訳でゴダールでは「フォーエバモーツァルト」が好きです。

 逆に刹那的で破滅的なのもすきです。「マイプライベートアイダホ」、「トゥルーロマンス」、「青い春」、「ナインソウルズ」、「ポンヌフの恋人」、「動くな!死ね!蘇れ!」とか。向こう見ずで、無条件に何かを信じてるアウトローってのが好きなんだな、多分。




 それから音楽も私にとっては重要です。
でも極論、音楽なしが一番優れていると思う訳です。菊池成孔も言ってた気がする。映画は映像ありきであって、音楽に感情を先導されたくないんです。特に感動は。なので、ささやかな音楽が良いです。画面の物語が立てる物音を大切にしてくれるのが好きです。「メゾンドヒミコ」、「トニー滝谷」、「かもめ食堂」とか。メゾン〜は細野晴臣が、トニー滝谷坂本龍一が音楽担当で、後かもめは井上陽水が挿入歌。素晴らしきマエストロたち。
あと逆にわざと映像にそぐわない音楽が流れるのは好きです。アスカvs量産型のシーンとか。


 そしてサントラはまた別。「ピンポン」、「トレスポ」は鉄板。「(500)日のサマー」、ソフィア・コッポラ作品、クラピッシュの「PARIS」は選曲のセンスがいい!ミュージカルは苦手だけど、「NINE」は音楽かっこいいです。ケイト・ハドソンのこれでもかってくらいギラギラしたのがいい。



で、無条件に好きなのがマフィア映画とドキュメンタリー映画、歴史もの。全く関連性はないです。
マフィア物は勿論「ゴッドファーザー」が金字塔。1のアル・パチーノのキレっぷりがたまんない。あとは「イースタンプロミス」も渋い。ヴィゴ・モーテンセンの全裸の肉弾戦は見ものです、まじで。「ギャングスター・ナンバーワン」でのポール・ベタニーのブリーフ一丁もセクシーですが。「私が愛したギャングスター」の飄々としたケビン・スペイシーもクールです。ケビン・スペイシー関連で「ユージュアルサスペクツ」もオススメです。ラストでびっくりしたい人へ。

ドキュメンタリーでは「パリ・オペラ座の全て」が一番好きです。ドキュメンタリーのお手本みたいな。淡々と、距離感を一定に保って、全体をバランス良く撮る。けど、対象への愛情は伝わってくる。私がバレエファンな色目もあるでしょうが、皆にみて欲しい。完全なドキュメンタリーではないですが、「潜水服は蝶の夢をみる」も淡々としつつも心に響きます。マチュー・アマルリックの演技がリアルで切ない。あと「命の食べ方」も映像センスがとてもいいです。内臓でろーんなのでそういうの好きな人は是非。
 ドキュメンタリーの大前提として、説明しないことが大事と思ってるんですが、上に挙げたのはそこに忠実かなと。
 
 内臓といえばゾンビ映画も割と好きです。老若男女皆平等。あんまり数観てないので、これから観る予定です。とりあえず「ゾンビーノ」「ゾンビランド」はおバカで面白かったです。

 

 歴史物は「エリザベス」、「ジャンヌダルク」(リュック・ベッソン)、「ブーリン家の姉妹」、「グラディエーター」、「ロビンフッド」等々、節操なく好きです。戦闘シーン万歳。忠誠心万歳。遅れてくる味方万歳。こればっかりはど派手な音楽が欲しいですね。




あー語った!満足!好きな俳優についても書こうと思ったけど、流石にやめた。ここ迄読んでくださった方、本当にありがとうございます。

奇跡の饗演、BBL公演と1週間で2回もelisabet rosをみる。美しさに涙が出るってなんて幸せなんだろう。普段トップアスリートを見て涙するのは、そこにたどり着くまでの努力とか犠牲(と呼ぶべきじゃないかもしれないけど)を想ってなんだけど、rosの場合は本当にその動きだけで泣ける。完璧なテクニック、高潔さ、強靭さとか。頂点で退く、という吉田都さんの潔さも素敵だけど、rosにはずっとずっと第一線で踊っていてほしい。年を重ねたらどんな風に踊るのか、観たい。






さ、バカみたいなバレエ漬けの日々も来月の東バ「M」までお預け。

THIS IS IT

ちょっと前に見てきた。
前評判を裏切らない良きマイケルでした。

私個人としてはマイケル=歌<ダンスの人なので、
(歌がイマイチって意味ではなく、ダンスにより注意がいくっていう意味で)
やっぱり終始彼の身体捌きに感服する映画だった。
とにかく動きの処理が美しい。

止めるべきと箇所は何のぶれもなく止めるのに、全体の流れは途切れない。
「ああ、こういうのを完璧ていうだな」って思うくらいに過不足がない。
だからといって技巧的になりすぎて感情が見えないわけでもない。
ダンスと歌を愛してるんだろうなっていうのも伝わってくる。



マイケル・ジャクソンという人間をしっかり観られて、知ることが出来てよかったと思えるいい映画でした。

南極料理人

南極料理人 [DVD]

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コメディ的な面白さ、映画としての考える面白さと両方あるとてもいい映画でした。ちょっと長いけど、出てる人全員演技が上手いからぐだぐだも楽しめる。(結構舞台中心の役者さんが多いのも一因?) 特に子役の子。びっくりするほど上手だった。愛嬌のなさが最高。


堺雅人と豊原功輔、きたろうが可愛いのはガチなんだけど、個人的には宇梶さんが可愛かった。そして嶋田久作。でかいおっさんラブ。頭なでられたい。



***


いま私たちは無くてはならないものを消費しながら無くてもいいものを望んで(望まされて)生きてる。でも限られた空間では、なくてはならない、自然の摂理にのっとったものが何よりの楽しみになる。ある意味すごくエコな映画だなーって思いました。

サマーウォーズ

サマーウォーズ [DVD]

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ストーリーとか設定とか前情報殆どナシで観に行ったんだけど、まずキャラデザが貞本なことに吹きそうになった。そう思ってみるとケンジとか侘助があの人やこの人に見える・・・。侘助は鉄板。(貞本の理想の男性像なんだろうか、ああいうの)
個人的には理一さん好き。



映画自体もすごく面白かったです。ほんとにぼくらのウォーゲーム!っぽかったけど、それの進化版というか。デジタルのつながりとアナログのつながりの両方をうまく混ぜてるのがさすがだなぁという感じ。描ききれない部分の匂わせ方とかもちょうどいい具合だったかと。
OZのアバターとかもかわいかったです。映画館で見てよかった。

レザボア・ドッグス スペシャルエディション [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント発売日: 2003/09/26メディア: DVD クリック: 11回この商品を含むブログ (50件) を見る

レザボア・ドッグスをやっと観ました。いやー期待以上。さすがタランティーノ。キャラ作りとストーリーのまとめ方が上手い。音楽の使い方もいいすね。場を盛り上げすぎるわけでもなく、ミスマッチを狙いすぎるわけでもなく。

演技の面ではティム・ロスがよかった。あとやっぱブシェミ。ブシェミ大好き。パルプ・フィクションシン・シティも観なきゃ。

こういう小気味良い映画は大好き。もっと長尺でやったらもっと濃いキャラとか強盗場面そのものとかも描けて面白いのかな、とも思うけど。あ、舞台でやったら面白そう。

TOKYO!

第一幕〈インテリア・デザイン〉
生きにくいだろうな、というのが第一の感想。藤谷文子が鈍感さと繊細さ(つまりは幼さ?純粋さ?)をよく表現してるなーと思った。あと加瀬亮のうざったさ(いい意味で)。たぶんすごく彼は芸術とか表現ってことについてこだわりがあるんだろうけど、周りが見えてないところとか。これミシェル・ゴンドリーが自己投影してるんじゃ・・・?とちょっと思った。

純粋な「役に立たなきゃ!」という焦りがああいう形で表現されてるのはミシェル・ゴンドリーワールドだなぁ。面白いが、無垢すぎてちょっと共感はできない。





第二幕〈メルド〉
糞てww 
最高の不条理劇をありがとう。1番面白かった。すごく理不尽な、許しがたい暴力を振るうのに、花を抱えて素っ裸で眠る彼はいっそ愛おしい。そういう二面性って誰の中にもあるものだと思うし、それが裁判が最後のセリフにつながってると思う。監督も彼は現代に投げ出されたジキルとハイドだって言ってるし。そしてもろもろの不条理さと無垢さを表現してるドニ・ラヴァンの迫力!ケモノだね、あれは。




第三幕〈シェイキング東京〉
香川照之ばんざい!蒼井優のガーターばんざい!良々最高!
香川照之ってもっと人間くさい暑苦しい役が合うと思ってたら・・・見事にヒキコモリを演じていた。あの何も信じてない感じの目が印象的。蒼井優の親指のシーンは心温まる。彼女の無機質で排他的な演技(これってかなり難しいよね)の中で、あのシーンは映える。しかしオチがなぁ・・・。ちょっと上手いコト言い過ぎというか、下世話というか・・・。あの2人の演技力があってこそ、下世話になりすぎず終われたけど、あれ本国(韓国)の俳優さんで撮ったらと思うとぞっとしない。とにもかくにも香川照之って上手い。